天然石の粒を壁や床に浮かび上がらせる「洗い出し仕上げ」。その美しさを、水洗いの工程なしで実現できるのが洗い出しネット(洗い出しシート)です。大粒の天然石を壁に施工しやすく、屋内や水を使えない場所にも採用できることから、住宅の外構・エントランスから店舗、商業施設まで広く使われています。
一方で、ネットを貼り合わせる工法ならではの「継ぎ目」や、下地・施工品質による仕上がりの差など、選ぶ前に知っておきたい注意点もあります。この記事では、洗い出しネットの仕組み、在来工法との違い、メリット・デメリット、施工手順、価格の考え方、失敗しない選び方までを、天然石洗い出し材メーカーのヤブ原産業が解説します。
この記事の要点
- 洗い出しネットは、天然石をネットに固定したシートを下地に貼り、目地材を詰めて仕上げる洗い出し工法
- 水洗い不要で、在来工法では難しい大粒の天然石も壁に施工しやすい
- 注意点は「ネットの継ぎ目」「下地と貼り付けの品質」「目地の仕上げ」。仕上がりは製品と施工体制で大きく変わる
- ヤブ原産業の「テクナチュール」は、継ぎ目が目立たない特殊ネット・樹脂を使わない自然な質感・責任施工を備えた洗い出しネット
01 / WHAT IS ARAIDASHI NET
洗い出しネットとは|天然石をネットに固定した「貼る洗い出し」
洗い出しネットとは、玉砂利などの天然石をあらかじめネット(シート)に固定した仕上げ材です。下地に貼り付け材を塗ってネットを貼り、石のすき間に目地材(目詰め材)を詰めて表面を整えることで、伝統的な洗い出し仕上げのような表情をつくります。製品によって「洗い出しシート」「ネットストーン」などとも呼ばれます。
完成した仕上げ面は、一般的に次の4つの層で構成されています。
天然石
仕上げの表情をつくる種石。色・形・粒径で印象が決まります。
ネット層
天然石を一定の間隔で固定するシート。工場で配列されます。
貼り付け材
ネットを下地(コンクリート・モルタル)に固定する層です。
目地材(目詰め材)
石のすき間を埋める材料。色によって全体の印象が変わります。
石の配列を工場で整えてから現場に持ち込むため、職人の経験に左右されやすい「洗い出しのタイミング」を見極める工程がなく、仕上がりを安定させやすいのが特長です。
02 / COMPARISON
在来の洗い出し工法との違い
在来の洗い出し工法は、セメントモルタルに種石を混ぜて塗り付け、硬化しきる前に表面を水で洗い流して石を露出させる左官仕上げです。洗い出しネットとの主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 在来の洗い出し工法(水洗い) | 洗い出しネット |
|---|---|---|
| 施工方法 | 種石入りモルタルを塗り付け、表面を水で洗い出す | 天然石を固定したネットを貼り、目地材を詰める |
| 水洗い工程 | 必要(洗い水・排水の処理が必要) | 不要 |
| 石の大きさ | 壁面では大粒の石を塗り付けにくい | 大粒の天然石も壁面に施工しやすい |
| 仕上がりの安定性 | 洗い出しのタイミングなど、職人の経験に左右されやすい | 石の配列が工場で整っているため安定しやすい |
| 注意点 | 天候・温度による硬化時間の変化、洗い水の処理 | ネットの継ぎ目・割付、貼り付けと目地処理の品質 |
在来工法には現場で一体に塗り上げる良さがありますが、壁面や屋内、水を使えない場所では洗い出しネットのほうが計画しやすいケースが多くあります。
03 / MERITS
洗い出しネットのメリット
在来工法では塗り付けが難しい大粒の石も、ネットに固定されているため壁面や立上りに施工しやすくなります。石そのものの存在感を活かした意匠が可能です。
洗い水や排水の処理が不要なため、屋内のエントランス、店舗内装、高所など、水を使えない場所にも採用できます。
石の配列は工場で整えられているので、洗い出しのタイミングによる仕上がりのばらつきが起きにくく、広い面積でも均質な表情をつくりやすくなります。
同じネットを床と壁に使えば、空間全体を同じ天然石の表情でまとめられます。エントランスや店舗のファサードで一体感を演出できます。
04 / CAUTIONS
洗い出しネットのデメリットと注意点
洗い出しネットは便利な工法ですが、次の点を理解せずに採用すると「思っていた仕上がりと違う」という結果になりかねません。
ネットを並べて貼る構造のため、一般的な製品ではシートの境界が直線状に現れ、タイルのような割付線として見えてしまう場合があります。継ぎ目の処理方法は製品によって大きく異なります。
下地の平滑さや貼り付け材の選定・塗り厚が不適切だと、浮きや剥がれの原因になります。特に壁面では、施工要領に沿った確実な施工が欠かせません。
目地材の詰め方やふき取りが不十分だと、石の表面に材料が残って質感が損なわれます。また、セメント系の目地材では白華(白い析出物)が生じる場合があります。
材料だけを購入して施工する場合、品質は施工者の技量と経験に依存します。意匠性が求められる壁面では、施工体制まで含めて検討することが大切です。
これらの注意点の多くは、継ぎ目の目立ちにくい製品を選ぶことと、材料と施工をメーカーが一体で管理する体制を選ぶことで対策できます。
05 / PROCESS
洗い出しネットの施工手順
製品によって細部は異なりますが、洗い出しネットは一般的に次の手順で施工します。ここではテクナチュールの標準的な施工手順を例に紹介します。
-
下地の確認・調整
コンクリートやモルタルの下地を、塗り厚が均一になるよう金ゴテ等で平滑に仕上げます。不陸や汚れは仕上がりと付着に影響するため、最初に確認します。
-
天然石シートの準備
施工範囲に合わせてネットの配置を計画します。テクナチュールは端部が特殊な形状のため、隣り合うネットをなじませるように配置できます。
-
下塗り(貼り付け材の塗布)
下地に貼り付け材をコテで塗り付けます。塗り厚が不均一だと石の高さがそろわないため、丁寧に均します。
-
貼り付け
天然石シートを貼り付け材に押さえ込むように貼っていきます。ネット同士の取り合いを確認しながら施工します。
-
目地塗り
石のすき間に目地材(目詰め材)を塗り込みます。目地の色によって、仕上がりの印象が大きく変わります。
-
ふき取り・仕上げ
石の表面に付いた目地材をふき取り、天然石の表情を浮かび上がらせて仕上げます。その後、所定の養生を行います。
※実際の施工方法・材料・養生条件は、各製品の施工要領と現場条件によって異なります。
06 / COST
洗い出しネットの価格・費用の考え方
洗い出しネットの費用は、「材料だけを購入して施工する」か「材料と施工を一式で依頼する(材工)」かで大きく変わります。比較するときは、次の内訳がそろっているかを確認しましょう。
- 材料費(ネット・貼り付け材・目地材)
- 施工費(下塗り・貼り付け・目地塗り・ふき取り)
- 下地の補修・調整費
- 施工面積と形状(壁・床・立上り、曲面や細かな取り合いの有無)
- 現場管理費・諸経費・運送費
REFERENCE / TECNATULE
参考として、テクナチュールの標準設計価格(材工・責任施工、税別、2026年11月現在)は次のとおりです。
| 部位 | 100㎡以上 | 99~50㎡ |
|---|---|---|
| 床 | 33,000円/㎡ | 37,000円/㎡ |
| 壁 | 39,000円/㎡ | 45,000円/㎡ |
※50㎡未満は別途お見積りとなります。現場管理費・諸経費・運送費・法定福利費は含まれません。宿泊を必要としない距離範囲の価格です。詳しくは標準設計価格表(PDF)をご確認ください。
材料のみの製品は初期費用を抑えやすい一方、仕上がりと耐久性は施工者に左右されます。見積もりを比べる際は、単価だけでなく「誰が、どこまで責任を持って施工するか」も比較することが重要です。
07 / HOW TO CHOOSE
失敗しない洗い出しネットの選び方|5つのチェックポイント
- 継ぎ目の処理方法ネットの端部がどのような形状か、継ぎ目が直線状に見えないかを、施工写真やサンプルで確認しましょう。
- 素材と質感樹脂を使った製品か、無機系の製品かで、艶や風合いが異なります。求める質感に合うかを実物で確かめましょう。
- 石の大きさと色・目地色粒径によって繊細にも力強くもなります。目地色の選択肢があると、建物や周辺素材に合わせやすくなります。
- 施工できる部位と環境壁・床・立上り、屋外・屋内など、計画する部位に対応しているかを確認しましょう。
- 施工体制と品質の責任範囲材料販売のみか、メーカーが施工まで責任を持つかで、仕上がりの安定性やトラブル時の対応が変わります。
08 / YABUHARA TECNATULE
継ぎ目が目立たない洗い出しネット「テクナチュール」
ヤブ原産業の「テクナチュール」は、天然石洗い出しの壁と床に対応した洗い出しネットタイプの仕上げ材です。洗い出しネットの注意点である「継ぎ目」「質感」「施工品質」に向き合い、3つの強みを備えています。

国内唯一の責任施工
テクナチュールは材料のみの販売を行わず、ヤブ原産業が図面指定を受けた建設業者と連携する責任施工体制で施工します。材料から仕上がりまでメーカーが一貫して管理するため、品質のばらつきを抑えられます。
継ぎ目が目立たない特殊ネット
一般的な洗い出しネットとは異なり、ネットの端部を特殊な形状に処理しています。直線的な継ぎ目が現れにくく、ネットを貼る工法でありながら天然石の表情が途切れない、自然な仕上がりを実現します。
樹脂を使わない自然な風合いと上質な質感
無機素材のみで構成し、樹脂特有の艶を抑えた穏やかな表情に仕上がります。セメント系バインダーで強固に固化し、耐久性・耐候性にも優れ、紫外線による変色や劣化にも強いのが特長です。
※「国内唯一」は、洗い出しネットタイプの仕上げ材における責任施工体制についての当社調べです。
床から壁まで、同じ天然石でつなげる
テクナチュールは床・壁の両方に対応し、同じ粒径の天然石で仕上げられます。床から壁へと連続した質感を持たせることで、エントランスや店舗、ギャラリースペースなど、空間全体に一体感と奥行きを生み出します。水による洗い出し工程が不要なため、屋内や高所、周囲で水を使えない環境でも施工できます。
2つの粒径と19色、4色の目地色
石の大きさは、繊細な印象のSタイプ(6~9mm)と、石の存在感が際立つMタイプ(9~12mm)の2種類。Sタイプ9色、Mタイプ10色の天然石と目地色の組み合わせで、建築や周辺の景観に合わせたデザインが可能です。
Mタイプ(9~12mm)





Sタイプ(6~9mm)





※画面上の色は実物と異なります。色味・質感はカットサンプルでご確認ください。目地部分に白華による変色が生じる場合があります。
一般的な洗い出しネットとテクナチュールの違い
| 比較項目 | 一般的な洗い出しネット | テクナチュール |
|---|---|---|
| 継ぎ目 | シートの境界が直線状に見える場合がある | 端部の特殊形状により継ぎ目が目立たない |
| 素材 | 製品によって異なる | 樹脂を使わない無機系(天然素材のみ) |
| 施工体制 | 材料販売が中心で、品質は施工者に依存しやすい | メーカーによる責任施工(材料販売なし) |
| 床と壁 | 製品によって異なる | 床・壁とも同じ粒径で一体的に仕上げられる |
| 石の大きさ・色 | 製品によって異なる | Sタイプ6~9mm(9色)/Mタイプ9~12mm(10色)、目地色4色 |
施工事例

RESTAURANT / ENTRANCE
イタリアンレストラン「Sa Mesa」(新宿)
新宿東口のサルディーニャ料理店「Sa Mesa」の店舗エントランス床に、テクナチュールを採用いただきました。天然石の素朴な風合いが、店舗の世界観を印象的に伝えています。
09 / FLOW
テクナチュール採用までの流れ
ご相談から設計・仕様決定まで、ヤブ原産業がサポートします。まずはカットサンプルで色と質感をご確認いただくのが、計画を進める近道です。
- お問い合わせ・ご相談計画内容や施工部位をお聞かせください。
- お打合せ・デザインヒアリング意匠のイメージや条件を伺います。
- カラーサンプル作成・ご確認実物で色・粒径・目地色を確認します。
- 設計・仕様決定サポート下地や施工範囲を含めて仕様を検討します。
- 図面指定へ責任施工体制で高品質な仕上がりを実現します。
10 / FAQ
洗い出しネットに関するよくある質問
洗い出しネットと洗い出しシートの違いは何ですか?
呼び方の違いで、どちらも天然石をネットやシートに固定し、下地に貼って目地材で仕上げる工法を指します。メーカーや製品によって名称が異なります。
洗い出しネットはDIYで施工できますか?
材料として販売されている製品の中にはDIY向けのものもあります。ただし、下地の調整や貼り付け、目地処理の品質によって仕上がりと耐久性が大きく変わるため、特に壁面では専門業者への依頼がおすすめです。テクナチュールは材料のみの販売を行っておらず、ヤブ原産業による責任施工での対応となります。
ネットの継ぎ目は目立ちませんか?
一般的な製品では、シートの境界が直線状に見える場合があります。テクナチュールはネットの端部を特殊な形状に処理しているため、継ぎ目が目立ちにくく、天然石の表情が自然につながります。
屋外の壁や床にも使えますか?
テクナチュールは外部の壁面・床面に対応しています。セメント系バインダーで強固に固化し、耐久性・耐候性に優れ、紫外線による変色や劣化にも強いため、屋外にも適しています。
水を使えない場所でも施工できますか?
はい。洗い出しネットは水洗い工程が不要なため、屋内や高所、周囲で水を使えない環境でも施工できます。
テクナチュールの価格はどのくらいですか?
標準設計価格(材工・税別、2026年11月現在)は、床が100㎡以上で33,000円/㎡、壁が100㎡以上で39,000円/㎡です。50㎡未満は別途お見積りとなります。面積や下地条件、地域によって変わるため、詳しくはお問い合わせください。
施工できる地域に制限はありますか?
全国対応を基本としていますが、地域によっては施工体制の確認が必要です。ご希望の施工エリアをお知らせいただければ、対応可否をお調べします。
サンプルは取り寄せられますか?
はい。設計・素材選定のためのカットサンプルをご用意しています。サンプル依頼フォームからお申し込みください。
SUMMARY
まとめ|洗い出しネットは「継ぎ目」と「施工体制」で選ぶ
洗い出しネットは、水洗い不要で大粒の天然石を壁や床に施工できる、計画しやすい洗い出し工法です。一方で、ネットの継ぎ目や下地・貼り付け・目地処理の品質によって、仕上がりは大きく変わります。
製品を選ぶときは、価格だけでなく、継ぎ目の処理方法、素材の質感、施工体制まで含めて比較することが大切です。
継ぎ目が目立たない特殊ネット、樹脂を使わない自然な風合い、そしてメーカーによる責任施工。洗い出しネットで美しい壁と床をつくるなら、ヤブ原産業の「テクナチュール」をご検討ください。
- 継ぎ目が直線状に見えないか、施工写真とサンプルで確認する
- 樹脂系か無機系か、求める質感に合う素材を選ぶ
- 石の大きさ・色・目地色を実物で比較する
- 材料販売か責任施工か、施工体制と責任範囲を確認する
