コンクリートの表面に天然石の表情を浮かび上がらせる「洗い出し仕上げ」。美しい仕上がりにするには、骨材の選び方だけでなく、下地・施工順序・洗い出すタイミング・養生の管理が欠かせません。
この記事では、伝統的なセメント系洗い出しの基本工程を、初めての方にも分かるように整理します。さらに、従来の「水洗いする工法」と、ヤブ原産業の水洗い不要の天然石洗い出し材「テクストン/彩洗い出し」の施工手順を比較。現場で起こりやすい失敗、必要な下地条件、施工を依頼する際のポイントまで解説します。
先に結論
洗い出しの施工方法は「セメント系を水で洗い出す方法」と「樹脂系の材料を塗り付けて仕上げる方法」では大きく異なります。両者の手順を混同しないこと、施工場所に合う下地と仕様を確認することが成功の基本です。
洗い出しコンクリートの施工方法は大きく2種類
従来のセメント系洗い出しは、コンクリートやモルタルの表面のセメント分を、適切な硬化段階で水洗いして骨材を露出させる工法です。骨材の配置方法や表面遅延剤の使用方法などに複数のバリエーションがあります。
一方、樹脂系洗い出し仕上げ材には、天然石を樹脂バインダーで固定し、目詰め材を施工・拭き取って洗い出しの表情を再現する製品があります。テクストン/彩洗い出しはこのタイプで、従来のように大量の水で表面を洗い流す工程が不要です。

| 比較項目 | 従来のセメント系水洗い工法 | テクストン/彩洗い出し |
|---|---|---|
| 基本工程 | 打設・骨材露出・水洗い・養生 | プライマー・骨材の塗付・目詰め・拭き取り・養生 |
| 施工時に重要な点 | 洗い出すタイミング、均一な露出、洗浄水の管理 | 下地の乾燥・平滑性、材料の混練、所定の施工厚 |
| 水で洗い流す工程 | あり | なし(拭き取り工程はあり) |
| 仕上げ層の厚み | 工法・設計条件による | 2分石:8mm/3分石:10mm(標準) |
※比較は代表的な工程です。セメント系工法の中でも骨材を練り込む方法や表面に配置する方法などがあり、実際の施工順序・養生条件は仕様によって異なります。
施工前に準備する材料・道具と3つの確認事項
必要な材料と道具は、採用する洗い出し工法によって変わります。従来工法の例では、コンクリートまたはモルタル、砂利・天然石などの骨材、鏝、ブラシ、洗浄用具、養生材などを使用します。表面遅延剤は採用工法によって使用する場合があります。
テクストン/彩洗い出しでは、製品所定の骨材・バインダー・プライマー・目詰め材と、施工に適した鏝や拭き取り用具などを使用します。セット材料の配合や施工順序を独自に変更せず、現行の施工要領書に従ってください。
玄関、アプローチ、駐車場、階段などの用途と、車両の乗入れ・通行頻度を整理します。
下地の強度・ひび割れ・不陸、排水勾配、目地位置を施工前に確認します。
気温、日射、降雨、風、施工面積と作業人数を踏まえて無理のない工程を組みます。
特に広い面積を一度に施工すると、仕上げや洗い出しのタイミングが揃わなくなるおそれがあります。無理に一度で仕上げず、施工区画や工程を計画しておきましょう。
従来の洗い出しコンクリート|施工の基本6ステップ
セメント系の水洗い工法について、現場で理解しておきたい基本的な流れを紹介します。ここでの手順は工法の概要であり、個別現場の施工要領書に代わるものではありません。
- 施工範囲・下地と勾配を確認する
路盤、型枠、コンクリート厚、必要な補強、排水勾配、目地を設計条件に合わせて計画します。駐車場などの構造条件は仕上げ材とは別に検討します。
- コンクリート・モルタルを施工する
採用工法に応じて材料を打設または塗り付け、仕上げ面の高さ・平坦性を整えます。材料の練り混ぜと施工可能時間の管理が重要です。
- 骨材を均一に配置・露出させる準備をする
骨材を練り込む工法、表面に撒き込む工法などで手順が異なります。選定した方法に従い、石の偏りや過度な埋没を防ぎます。
- 適切な硬化段階を見極める
気温・湿度・日射・風によって材料の硬化速度は変化します。表面遅延剤を用いる場合も、採用製品の要領に従って使用します。
- 表面を丁寧に洗い出す
骨材を流出・脱落させないよう、表面のセメント分を除去して石を露出させます。高圧水の使い方を誤ると欠けや脱落の原因になるため、洗浄方法は工法の仕様に従います。
- 洗浄水を処理し、所定期間養生する
排水・洗浄水の回収や周辺養生に配慮し、材料・気象条件に応じた湿潤・保護養生を行います。歩行や車両開放の時期は現場条件に合わせて判断します。
注意:洗い出す時間を一律に決めることはできません。
「施工後○時間」などの固定値だけで判断すると、気温や配合の違いにより仕上がり不良につながります。作業前に使用材料の仕様と当日の気象条件を確認してください。
DIYで行う場合、どこに注意する?
小面積の施工を検討する場合も、仕上げ前の下地・排水計画・材料の施工可能時間が重要です。構造荷重のかかる駐車場、共用通路、階段などは、施工経験のある専門業者に相談することをおすすめします。
洗い出しの意匠面のメリット・注意点についてはコンクリート洗い出しのメリット・デメリットの記事 →でも紹介しています。
テクストン/彩洗い出しの施工方法|水洗い不要の10工程
ヤブ原産業の天然石洗い出し樹脂舗装材「テクストン/彩洗い出し」は、天然石の骨材を樹脂バインダーで固定し、目詰め材で洗い出しの表情を仕上げます。
公式施工工程を分かりやすく整理すると、次の流れです。
- プライマー塗布
下地の清掃・乾燥・平滑性を確認してから、所定のプライマーを塗布します。
- 骨材とバインダーの混練
指定セットの骨材と樹脂を、全体が均一になるように混ぜます。指定外の水や材料は加えません。
- 骨材の塗り付け
金鏝などを使用して、所定厚みで均一に塗り付けます。
- 鏝押さえ・乾燥養生
骨材を密に押さえて表面を整え、指定された条件で乾燥養生します。
- 目詰め材の混練
指定量・指定手順で目詰め材を混ぜます。
- 目詰め材の流し込み
骨材間の空隙を埋めるように、材料を行き渡らせます。
- 余分な目詰め材の掻き出し
所定のタイミングで余分な材料を除去し、仕上がりムラを抑えます。
- 目詰め材の拭き取り
骨材の表面に残った材料を、所定の方法で丁寧に取り除きます。
- 仕上げ拭き
天然石の表面を整え、仕上げ残りがないか確認します。
- 最終養生
製品の要領に沿って養生し、適切な時期に歩行・使用を開始します。
※工程名称・順序はヤブ原産業の公開施工案内を参照。実施工の材料配合、時間、気温条件は必ず現行施工要領書に従ってください。

テクストンと彩洗い出しの違い
テクストンはメーカーによる工事まで含む責任施工商品、彩洗い出しは材料販売商品です。製品選定だけでなく、施工体制に合わせてご相談いただけます。
失敗を防ぐための下地・施工厚・養生の確認
施工方法が正しくても、下地にひび割れや段差、不陸があると仕上がりに影響します。特に、既存コンクリート上へ仕上げ材を施工する場合は下地条件を入念に確認しましょう。
テクストン/彩洗い出しでは、施工に適したコンクリート・モルタル下地が必要です。
大きな不陸や段差がある場合は、仕上げ前に補修して所定の厚みを確保します。
公開施工案内では含水率10%以下を案内。測定方法や現行要領書の適用条件を確認してください。
標準仕様での仕上げ厚です。必要なコンクリート下地の構造厚とは別です。
既存土間への施工では「下地補修」が先
ひび割れ、欠け、目地、塗膜の残存、汚れ、苔などは、仕上げ材の付着や完成後の見え方に影響する場合があります。見た目を整えるだけでなく、発生原因や下地の健全性を確認してから対応します。
乾燥養生と供用開始の時期は製品ごとに確認
施工できる気象条件、乾燥養生、施工直後の雨や結露の影響、歩行開始・車両開放の時期は製品仕様によって異なります。安易に一律の養生時間を当てはめないでください。
洗い出し施工で多い失敗と、施工前にできる対策
| よくある問題 | 考えられる原因 | 対策の考え方 |
|---|---|---|
| 骨材が均一に露出しない | 水洗いのタイミング・骨材配置のムラ | 工法に沿った硬化状態の確認と小区画での施工計画 |
| 骨材が取れる・剥がれる | 過度な洗浄、材料混練不足、下地不良など | 指定配合・洗浄方法・下地の付着条件を守る |
| ひび割れが目立つ | 下地の動き・収縮・目地計画の不足など | 仕上げ前の下地調査、目地計画、適切な養生 |
| 色や質感が揃わない | 材料・骨材ロット、施工条件、拭き取りの違いなど | 現物サンプルと施工区画ごとの品質管理 |
| 使用開始後に不具合が出る | 用途に合わない材料・品番、養生不足など | 荷重・通行量・濡れ条件に応じた製品選定 |
施工場所に合う品番選びも重要です。
テクストンの一部カラーは軽歩行向けです。駐車場や頻繁に車が通る場所では、製品ごとの適用範囲を確認してください。また、乗用車対応品でも据え切り・重量車両などの条件によって適否が変わります。
洗い出しの失敗事例については、施工失敗と対策を詳しく解説した記事 →も参考になります。
洗い出しの施工品質を支える、メーカー責任施工という選択
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洗い出しでは、材料の性能だけでなく、下地・工程・施工技術・現場ごとの品質管理が仕上がりを左右します。施工上の失敗リスクを抑えるためには、手順を守ることに加え、現場条件に合った製品と施工体制を選ぶことが重要です。
ヤブ原産業のテクストンとビーンズウォールは、メーカーによる材工一括の責任施工に対応。材料の選定から工事内容の検討、施工管理、仕上がりの確認まで、一貫した体制で対応します。材料と施工を別々に考えるのではなく、両方を管理することで品質のばらつきや工程上の行き違いを抑え、施工不良のリスク低減につなげます。
材料と施工を一体管理
メーカー責任施工の体制により、採用製品・下地・仕上がりの条件を一連の工程として確認します。
シリーズ累計100万㎡超
公共施設・商業施設から住宅まで、多様な現場で培った施工実績を品質管理に活かします。
35年以上の技術蓄積
長年の改良と品質管理を積み重ね、設計者の意図を再現するための施工対応力を磨いてきました。
洗い出しの施工事例|施工場所と製品を確認する
用途に合う施工方法を判断する際は、同じような使用条件の施工事例を確認することも役立ちます。ここではテクストンを採用した実績をご紹介します。
MUFGスタジアム(国立競技場)
- 用途
- デッキ・外構階段
- 施工面積
- 約4,900㎡
デッキテラスや外構階段などに天然石洗い出し材「テクストン」を採用。特注2色で意匠を構成した大規模な施工実績です。
洗い出しの施工方法に関するよくある質問
洗い出しは施工後何時間で水洗いしますか?
採用工法、配合、気温・湿度、表面遅延剤の有無などによって変わるため、一律には決められません。現場で材料の硬化状態を見極め、使用製品の施工要領に従ってください。
高圧洗浄機で洗い出してもよいですか?
使用の可否や圧力・距離は工法の仕様に従います。強すぎる水圧で骨材が外れたり、仕上がり面を傷めたりする可能性があります。硬化後のメンテナンス時の高圧洗浄とは別に考えてください。
洗い出しコンクリートの施工厚は何mmですか?
一体型のコンクリート舗装では下地を含む構造厚を設計条件に応じて決めます。一方、テクストン/彩洗い出しの標準仕上げ層は2分石8mm、3分石10mmです。両者を混同しないでください。
既存コンクリートに洗い出し仕上げを施工できますか?
製品の適用条件を満たせば可能な工法があります。下地の乾燥、付着性、平滑性、ひび割れ、目地などの確認・補修が必要です。
DIYでも施工できますか?
小規模な外構でDIYを検討する例はありますが、洗い出しのタイミングや下地の品質管理には経験が必要です。駐車場・共用通路・階段など安全性や荷重が重要な場所は専門業者に相談しましょう。
水洗い不要なら屋内でも施工できますか?
テクストンは屋内の施工実績もあります。ただし、下地の含水状態や施工環境、使用条件に適合する仕様であることが前提です。
まとめ|施工手順だけでなく、下地と材料選定が仕上がりを左右する
洗い出しコンクリートは、天然石の質感を活かした美しい床仕上げです。従来のセメント系工法では洗い出すタイミングと骨材の露出が重要で、水洗い不要の樹脂系工法では下地の状態、混練、塗り厚、目詰め、養生が品質を左右します。
- 使用場所と荷重条件に合った工法・品番を選ぶ
- 下地の平滑性・乾燥・補修・排水と目地を確認する
- 現行の施工要領書と実物サンプルを確認してから着工する
施工方法を理解したら、実際の色や質感、採用可能な仕様も確認しましょう。ヤブ原産業では、天然石洗い出し材のカットサンプルと、メーカーによる責任施工のご相談に対応しています。

